2024/09/09
私は、まだ社会人なりたての方とお会いした時、この言葉を伝えています。
「人よりも10%だけ多く努力しよう。
そうすれば働くことがきっと楽しくなる。」
このように伝えると、多くの人は次のように言います。
「10%だけでいいんですか?」
「人の2倍、3倍努力しなくていいんですか?」
うん、10%でいいんです。
10%多く頑張るだけで、道は開けます。
2倍3倍の努力ではいけない理由
2倍、3倍の努力というのは、ほとんどの人が続けることができません。
1日2日程度、人よりも2倍、3倍努力するということはできます。
でも、たいてい3日坊主です。
これは、ダイエットでもよく見受けられることです。
「よし、今日から毎日10km走ってやせるぞ!!」
このように意気込み、初日は頑張るのですが、
大抵次の日になると、猛烈な筋肉痛と倦怠感に襲われ、
継続不可能になります。
最初の一日目は、「よしやるぞ!」と固く決意するのに、
次の日にはもうやる気がなくなっている。
この現象は、人間の生理学的にも証明されているのです。
“ホメオスタシス”
といいます。
“恒常性”
ともいいかえることができます。
人間は恒常性の生き物です。
例えば、夏に35℃を超す気温に見舞われると、
人間の体温もどんどん上がっていきます。
すると、人間の体は、発汗します。
この汗が蒸発することによって、体温がまた下がり、
人間の体温は一定に保たれるのです。
モチベーションにも、全く同じ作用が働きます。
何かを始めよう!!と決意すると、
その時は一気にモチベーションが高まり興奮します。
そのため、その日は決意したことが実行しやすくなります。
しかし、この時人間のホメオスタシス(恒常性)が働き、
自然とモチベーションを下げようとします。
興奮が和らぐように、人間の体が勝手に作用するのです。
すると、次の日起きると、昨日の決意が嘘のように
やる気の起きない状態、気持ちが冷めた状態になっているのです。
これが、「2倍3倍人よりも頑張る」と決意すると、
努力が続きにくい理由です。
10%多い努力は、時を重ねるごとに雪だるま式に成果が出る
「2倍3倍の努力」に比べて、
人よりも10%多い努力、
つまり1.1倍の努力はホメオスタシスが働きづらく、
継続的を努力となりやすいのです。
しかし、よく聞かれるのが、
「本当に人より10%努力するだけで成果が出るの?」
という質問。
結論、すぐには出ません。
しかし、何年も経った時、大きな違いとなって成果に出ます。
例えば、人と比べて平均的な努力を続けた場合。
1年目の成果 1(これは人と比べて1倍。偏差値でいうと50です。)
2年目の成果 1×1=1
3年目の成果 1×1×1=1
5年目の成果 1×1×1×1×1=1
10年目の成果 1の10乗で1
つまり、平均的な努力しかしていなければ、いつまでも平均的な成果。
人と比べて1倍。偏差値でいうと50のままです。
一方1.1倍の努力をした場合、次のようになります。
1年目の成果 1.1(人と比べて1.1倍の成果)
2年目の成果 1.1×1.1=1.21
3年目の成果 1.1×1.1×1.1=1.331
5年目の成果 1.1の5乗で1.61
10年目の成果 1.1の10乗で2.59
10年たつと、平均的な人の2.59倍の成果が出ることになります。
これは大きな差です。
この
“人よりも10%多く努力する”
という言葉は、
TOSSという教育研究団体の代表 向山洋一氏から教わったものです。
私も、この言葉を信じて、努力を続けることができました。
教員の時に感じた5年目のブレイクスルー
私は、23歳の時から7年間、小学校の教員をしていました。
1年目から、“人よりも10%多く努力する”を意識し、
日々行動していたのですが、
最初の4年間はなかなか自分の成長を実感できない日々が続きました。
私は、本当に不器用なんですね。
周りの人が、バランス感覚良くやってしまうことも、
自分にはなかなかできない。
「あれ、自分は教員に向いていないのかな。」
と日々感じていました。
しかし、そんな日々も5年目に入ると、激変しました。
ブレイクスルーです。
自分がしてきた努力以上の成果が出始めたのです。
子どもたちが私の学級が楽しい、私の授業が楽しい、と口々に言い始めたのです。
5年目に入って急に、です。
じわじわ成果が出始める、のではなく、
ある日突然上手くいき始めた。
そんな感覚でした。
成果は後からついてくる
成果は、ダムの水が決壊するかのように、
ある日突然、私たちの前に姿を見せます。
でも、そのためには、継続的な努力、
無理のない努力、
すなわち人よりも10%多い努力を続ける必要があります。
ただ、すぐに結果を求めると、自分が苦しくなってしまいます。
成果が、努力を、後ろから追いかけている時期が何年か続きます。
「あれ、俺は努力しているからもっと成果が出てもいいんじゃないか。」
そんな時期が一定期間続きます。
でも、ある日突然、成果が努力を追い越して姿を見せます。
その時がブレイクスルーです。
自分でも考えてなかったような成果が目に見えて出始めるのです。