2024/09/09
私は建築業から身を引く決断をしました。
会社を辞めるのです。
私は、全く別の業界で起業します。
関連記事:会社を辞めます!【決断編】
ただ、一年前はこんな風に思っていました。
「現状の建築業に不満がある。今の会社にも不満がある。だから、独立して会社を立ち上げて理想の建築の会社を作るんだ!!」
周りに、自分の理想とする会社や業者はありませんでした。
でも、ある一冊の本だけが私の指標でした。
それがこの本です。
この本の中の島根電工株式会社こそが、私の理想とする会社でした。
代表取締役社長の荒木恭司氏の生き方、会社経営こそが自分の理想だと考えていました。
この本の中で、荒木氏は次のように主張しています。
顧客第一主義だけど、社員が一番、お客さまは三番。
この言葉を堂々と主張できる荒木氏、カッコいいです。
顧客第一主義が陥る失敗
顧客第一主義。
言葉だけ聞くと立派です。
でも、それだけでは大切な従業員を苦しめることにもなるのです。
私も、このことを痛感した出来事がありました。
その時、私の会社では某病院の空調機改修工事を行っていました。
工事は、元請け業者がいて、私の会社が下請けでした。
その元請け業者がまさに顧客第一主義だったのです。
某病院の要望を何でも聞きます。
「工事の時間帯はいつでも良いですよ!」
「要望はなんでも聞きますよ!」
そう言ってしまうと、その病院も言いたい放題。
工事は、昼も夜も関係なく行うことになってしまいました。
夜の工事を3時までやる。
そして、その次の日は、朝の8時からまた工事。
そのまま、夜の3時まで工事が続く。
寝る時間なんてありません。
すると、皆注意力が散漫になり、ミスをし始めます。
すると、その元請けは
「何回ミスしてんの!次がラストチャンスだ!」
と怒鳴ります。
いやいや、寝る時間もなければ、そうなるよ・・・。
段々と、その元請けに対して、私たちや職人さんの不満が限界に達していきました。
意欲は最低レベルに落ちていきました。
こうなると、皆どうしても保守的になっていきます。
本当に、最悪の雰囲気でした。
実際に、現場で作業するのは、従業員であり、職人さんです。
その人たちのモチベーションが高まらなければ、決して良い工事が行われることはありません。
だからこそ、まずは社員や従業員、そして協力業者である職人さんを大事にする必要があるのです。
心が満たされれば、人にやさしくできる
逆に、こんな経験もしました。
私は以前、小学校の教員でした。
私の指導方針は「とにかくその子の良いところ、伸びたところを褒めて認め続ける」でした。
ある年、どうしても友達に暴力をふるってしまうC君を担任しました。
落ち着きがない子です。
でも、彼には一つの特出した才能がありました。
“文章力がある”ということです。
彼に日記を書かせると、独創的な文章を何ページも書いてくるのです。
「これはすごい!!」と思い、何度も褒めました。
すると、彼は私のことをとことん信頼してくれました。
それだけではありません。
前年度、友達に暴力をふるっていたC君ですが、全く暴力を振るわなくなったのです。
それどころか、彼が書いてくる日記内容が友達の良いところ特集!!という時もあったほどです。
彼は、私に褒められ認められ、そしてその様子を見ていた友達にも認められ、心が満たされたのだと思います。
彼は、本当に子どもらしい可愛い顔つきになっていきました。
友達が困っていると、すぐに「どうした?」と声をかける少年になっていきました。
いや、これが本来の彼の姿だったのでしょう。
私はそう思います。
従業員も心が満たされるから、お客様のことを大切に想える
これは、会社で働いている従業員も一緒ではないでしょうか。
会社や上司、社長から大事にされていると実感できる。
だから、心が満たされている。
そして、お客様を心から大事に想える心のゆとりができてくる。
そう思うのです。
この本は、ブラック企業に悩む方。(こんな会社あるんだ、と社会に希望が持てます)
これから経営者を目指す方。
実際に会社経営をしている方。
組織をまとめる立場にある方に強くお勧めする一冊です。